熱音響現象の歴史

我が国で最も古くから知られていた熱音響現象には,1776年に出版された上田秋成の『雨月物語』に「吉備津の釜」として登場する釜鳴り現象がある.また,西欧においても同時期である18世紀末に,パイプオルガンをバーナーで修理する際に音が鳴った,という報告がある.このように古くから知られている熱音響現象ではあるが,研究の対象としては19世紀頃から注目されたものであり,最近ではさまざまな分野で応用されている.特にオイルショックが起きた1970年頃から,エネルギー問題に関心が集まるようになり,エネルギーの効率的な活用が可能なスターリング機関に関心が集まった.1979年にはCeperleyによって可動部のない熱音響システムが提案された.可動部のない熱音響システムの実現は難しいと考えられていたが,1998年になってYazakiらがプロトタイプの製作に成功した.そして今現在、エネルギー問題に関心が集まり,再び脚光を浴びつつある熱音響冷却システムは,いくつかのグループで研究が進められているが,実用化には至っていない.そこでわれわれは熱音響システムの実用化に向け研究を行っている.

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